オーダーメイドの家族の思い出ドール
オーダードール
亡くなったご主人との思い出ドール
10年ほど前の話になるのですが、宝石店のショーウインドウにドールをディスプレイしていた時、
素敵なマダムが声をかけてくださりました。
そして、ドールを長い間ゆっくりご覧になって、
『オリジナルを作ってくれますか?』と。
後日ゆっくり会う約束をして、事情をお聞きすると、
息子さんが独立した頃、日々忙しくお仕事をする旦那さまと夢の計画をしたそうです。
老後は都会を離れて、郊外で家庭菜園をしながら2人でのんびり暮らすという夢。
お二人は夢の実現を楽しみに一生懸命頑張って、
退職され、
夢の郊外のお家は現実のものに。
未来の二人の暮らしを語り合うことが本当に幸せだったと話してくださりました。
しかし、お家ができあがって、これからという時に旦那さまが突然病に倒れ、天国に召されてしまったのだそうです。
そんな、、、
お聞きしながらショックを隠しきれない私をマダムが微笑みながら、逆に慰めてくださりました。
愛に溢れた雰囲気が表情に表れているような方です。
そして、マダムが出した決断。
それは、2人の夢が詰まった新しいお家に一人で引っ越しをするってことでした。
その新しいお家に家族のアートを作ってくれませんか?というご依頼だったのです。
マダムのオーダードール
息子さんと3人で幸せに暮らしていた頃。
息子さんがまだ小さくて、外でお弁当を広げて楽しくハイキングしたことを懐かしく思い出すことがあるのよって、その写真も見せていただきました。
おにぎりを美味しそうに頬張る小さな息子さん。
優しそうな旦那さま。
愛に包まれたご家族の1枚。
思い返すと、旦那さまはその頃本当に忙しくされていて、家族団欒できる時間も少なかったと。
こんなひと時が一番幸せだったなって思うそうです。
そしてご依頼されたのが、息子さんが小さかった時代の幸せな1シーン。
ハイキングを楽しむご家族。
あんまりそっくりさんじゃなくて、思い出をたまに振り返れるお人形さんたちにしてもらいたいってことでした。
私はそもそもそっくりさんを作れないのです。
色々なお話を伺い、私がイメージしたその方をドールにさせていただくという形で製作しています。
もちろん別人になることはなく、ちゃんと雰囲気はその方そのものです。
私は1冊のアルバムをお借りして、イメージを膨らませて、家族の思い出を製作させていただきました。
レジャーシートを広げてお弁当を食べているご家族。
風船も飛んでいます。
温かく優しさに包まれた思い出の1シーン。
納品するときはいつもドキドキとワクワクでいっぱいになりますが、
心から喜んでくださっているのが伝わってきてとても嬉しかったことを覚えています。
そして、「新しいお家で一緒に暮らします」っておっしゃってくださりました。
思い出と夢に溢れたお家で、ドールたちが優しいマダムと一緒に暮らしていること、とても幸せに思います。
その頃は、個人様のオーダーメイドアートはあまり製作したことがなかったのですが、
このオーダーで、日常を幸せにするアートの製作っていいなって感じるきっかけになりました。
マダムだけの繊細な思い出のシーンなのでドールの写真は控えることにいたします。
代わりに、年を重ねても仲良く一緒に夢を見れる理想のご夫婦を。
オーダードールについてのお問い合わせなどお気軽にご連絡ください。
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